4.1 コミュニティー

現在、医療はますますコミュニティーを必要としている。

地域包括ケア、地域保険ガバナンスなどは、コミュニティーを形成して現在の医療課題に対処していこうという流れだ。

コミュニティーという言葉には、そこの参加者がさぞ信頼しあっているような心地いい響きがあるが、実際には利害関係やリテラシーのばらつき、さらに純粋な人間関係の濃淡などがあり、なかなか理想的な形成は難しい。

総論では誰もが「患者中心の医療」に賛成するが、医療課題の各論の解決において患者・家族や一般的な医療消費者が医療に参加する健全なコミュニティが形成されているかというと、まだ十分とはいえないだろう。

要は、現実から目を逸さずに見つめてみると、医療はトラストレスなコミュニティーである。患者と医師の関係においても、互いによく知らない関係でそれぞれ受診・治療することは多い。

ブロックチェーンによって参加者全員が合意形成した信頼できる情報を容易に入手できるようになれば、トラストレスな関係でも安心して診療を受けたり、治療することができるだろう。

ブロックチェーンは、トラストレスな関係者が参加し、そこで確実なデータ管理や契約執行を実現する特性をもっているので、トラストレスな研究者間でデータを共有活用できるし、研究者が移籍などしていなくなっても、データの取引履歴を追うことなども可能である。