NFTとは日本語で、「代替不可能トークン」「非代替性トークン」と呼ぶ。ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、この分類でいくと代替性トークンである。つまりNFTは仮想通貨とは異なる。
代替性トークン(FT: Fungible Token)は、あなたが持っているイーサリアムも私が持っているイーサリアムも同等であり、代替可能である。しかし、NFTは、あなたが持っているトークンと私が持っているトークンは異なるもので、代替することはできない。
また、代替性トークンは量の多寡に意味があるが、非代替性トークンはその量ではなく、質が重要である。
いま、Top Shotというアメリカプロバスケットボール(NBA)のウェブサービスが人気だ。さまざまな試合や選手の名場面の動画をパッケージ化して販売しているものだ。
この動画にはNFTが付与されており、その動画が確かにあなたものもであることが証明される。デジタル動画は技術的にはコピーすることが簡単だが、このNFTの証明書がついているかいないかの差が重要だ。
Top Shotのマーケットプレイスではこれらの動画が売買されており、希少な動画は高値で取引されるが、この証明書に相当するNFTがついていなければ取引することはできない。
つまりNFTは鑑定書のようなものである。
NFTはもともと、2017年にリリースされたCryptoKittiesという日本発の猫のブリーディングゲームが始まりである。猫のカードを取引するのだが、異なる猫と交配させることが可能で、生まれてくる猫のデザインに人気の多寡があり、人気のあるカードは高値で取引されるのである。当初1000万円以上で取引されたことで一躍有名になった。いまでは1億円以上で取引されているものもある。
2021年3月にはイギリスの大手オークションハウスのクリスティーズでBeepleの絵が75億円相当で落札された。Beepleはこれまで毎日5000以上のデジタルアートを作成したきたサイトである。このデジタルアートはデジタルコピーすることは可能だが、落札者はこのデジタルアートの所有権をNFTという鑑定書付きで購入したことになる。
NFTは初めてデジタル資産を鑑定し、デジタルのまま取引することを実現させた技術というところにその意義がある。今後、NFTの使い勝手が良くなるに従って、より実用が広がるであろう。