16th DIA Japan Annual Meeting 2019 医療ブロックチェーン・セッション報告

DIAが11月10日から12日まで東京ビックサイトで開催されました。その2日目の11日の9時から10時半まで「医療ブロックチェーン」のセッションがあったので参加してきました。

セッションタイトル:「ブロックチェーン技術と医薬産業への展開」
座長:国立保健医療科学院 水島洋先生

スピーカー:
Arteryex株式会社 李 東瀛氏 「ブロックチェーンによって実現される患者中心のデータ活用基盤」
日本IBM株式会社 高田充康氏「本格運用が加速するブロックチェーン・ネットワーク」

場所は東京ビックサイトの会議棟の606会議室。出席者は、きちんと数えていませんが、ざっとみた感じで50名くらいであったと思います。

■最初に水島先生からご講演がありました。
医療ブロックチェーンの実例として次のものを紹介されていました。

  • エストニアによるブロックチェーンの医療システム利用
  • Planetway Japan社と東京会場日動による実証実験(2017年)
  • Susmed社によるがんセンターとの臨床試験利用
  • Mijin(テクノロジービューロ社)と楽医(Healthcare Gate社)によるオンライン医療ソリューションの開発

エストニア以外は日本での事例です。日本でもじわじわと医療ブロックチェーンへの取り組みが広がっています。

■次に日本IBMの高田氏が講演されました。ブロックチェーンとは何か、そしてWalmart社を中心とした食品サプライチェーンのユースケースについて紹介されました。

高田氏はブロックチェーンは「トラスト(Trust)」と「オートメーション(Automation)」 であると解説。トラストとはむしろ、必ずしも信用できない人たちの間で取引ができることをトラストという言語にしているのがポイントですね。

日本IBMが手掛けているブロックチェーンプロジェクトは、かつて金融系がほとんどであったが、今は金融は1割ほどで、9割がそれ以外の業界とのことです。わたしのイメージよりはるかに多いイメージなので、これは驚きました。

また今年3月27日に日本IBMよりプレスリリースされた製薬ブロックチェーンについては、どうも間に合わなかったご様子で今回は特にご報告はありませんでした。今後の発表の日を待ちましょう。

■最後にArteryexの李さんの講演がありました。まず、ブロックチェーンとは何かを簡単にご説明くださった後、同社が開発をしている健康銀行の解説されていました。健康銀行は、患者さんに医療記録のコントロール権を与えることによって実現される次世代型医療記録プラットフォームです。

同社の問題意識として、医療消費者や患者のデータの80%は適切に利用されていないこと、またこれらのデータが医療機関などで利用されていることを医療消費者自身が知らないこと、そして最後にこうした利用に対して何の見返りもえていないことの3つを上げていました。

こうした問題意識に解決の道筋をつけるものとして健康銀行を位置付けていると理解しました。その上で、ブロックチェーンのメリットとして3つあげていました

  1. セキュアな分散型データマネジメントシステム
  2. 消去することができないデータとその閲覧履歴
  3. 患者にとって透明性の高いデータと患者によるフルコントロール権の獲得

■三者による講演のあとはパネルディスカッションがありました。

聴衆からさまざまな質問がでました。データの標準化、トークンエコノミーにまつわるインセンティブ、またEDIやJDネットに対する位置づけ、希少疾患患者のレジストリーなどです。

こうしたディスカッションは、理解を深めるのに役立ちますし、徐々にブロックチェーンの利用につながるもので重要ですね。