ハッシュピーク 株式会社は、有楽町国際ビル内のブロックチェーン発信拠点である丸の内vacansにてヘルスケア×ブロックチェーン・セミナーを開催しました。講師はハッシュピーク 代表の前田が務めました。当日は参加者による議論も活発に行われ、盛会のうちに終了しました。アンケートの集計結果も大変好評でした。
■セミナーのアジェンダ
13:30~14:35 ブロックチェーンとは
14:50~15:40 HiMSS 2019 in Orlando 現地レポート
15:40~16:05 ブロックチェーンのヘルスケアビジネス事例
16:15~17:00 ヘルスケアでのブロックチェーンの応用可能性(参加者による議論)
■ブロックチェーンとは
ブロックチェーンには分散台帳、仮想通貨、資金調達の3つの側面があることを示した上で、ヘルスケア領域では分散台帳の側面に重心をおいた考え方が大切であると解説しました。
■HiMSS 2019 in Orlando 現地レポート 2019年2月11日より15日までアメリカはフロリダ州のオーランドで、HiMSS(Healthcare Information Management Systems Society)のグローバルカンファレンスが開催されました。HiMSSは7万人の会員を擁する世界最大級の団体であり、同カンファレンスには世界中から4万人以上が集結しました。 2月11日には終日かけてブロックチェーンシンポジウムが行われ、午前から午後にかけて合計6セッションがありました。各セッションには、マイクロソフトなどの大手企業、ヘルスケアブロックチェーンのベンチャー企業、ブロックチェーンのプラットフォームの協議団体、さらには連邦政府の職員もプレゼンテーションやパネルディスカッションに参加していました。 今年のテーマは、ずばり「インターオペラビリティ」。医療業界のサイロ化(縦割り化)されている情報をいかに繋いで有効活用するかが課題です。ブロックチェーンに限らず、人工知能などの先端技術の有効利用をするためにも重要な課題との共通認識が業界にあり、熱い議論が交わされていました。 |
特にONC(Office of the National Coordinator for Health Information Technology)とCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)が、「Information Blocking(情報遮断)」に対して強い懸念を示し「施設や保険者はオープンにデータ共有する技術を実装し患者が保険プランを選択するにあたりスムーズな治療移行をサポートすべき」と共同声明を発表しました。
ブロックチェーンシンポジウムにおいても、さまざまなブロックチェーンネットワークがバラバラに作られていますが、将来的には異なるチェーンネットワークがお互いに接続し合う運命にあると展望していました。しかし、現在の個人情報保護法などの法制度やレジストリ規格のままでは、ブロックチェーンは今後お互いに情報交換ができなくなることへの懸念が議論されました。
■ブロックチェーンのヘルスケアビジネス事例
こちらでは、ブロックチェーンを使ったヘルスケアビジネスを個別の14社の企業につきご紹介しました。医療健康記録、遺伝子データの価値化、保険請求、アウトカムベースの価値管理、セカンドオピニオンネットワーク、医師と患者のエンゲージメント強化など14の事例をご紹介をいたしました。
■ヘルスケアでのブロックチェーンの応用可能性
最後に参加者全員で日本において医療ブロックチェーンの応用可能性について活発に議論をしました。
質問も複数の方から投げかけられ、気づきの多いセッションとなりました。
[まとめ]
アメリカのHiMSSに参加して目の当たりにしたのは、米国ではブロックチェーンの基礎知識があることはすでに当たり前で、参加者が医療への応用につき本質的な議論をしていることでした。去年も多くの実証実験が行われ、何がうまくいって、何がうまくいかないかの共有も進んでいました。日本でのブロックチェーンのヘルスケアでの取り組みはまだ少ないですが、ブロックチェーンの耐改竄性やスマートコントラクトの効率性などその良さに着目しつつ、実用化が進んでいけば良いと思います。